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【2025年度フランス音楽コンクール】受賞コメントー声楽部門1位・総合2位 吉田 理乃 さん

声楽部門1位・総合2位 吉田 理乃 さん

東京音楽大学声楽専攻声楽特別演奏家コースを卒業および同大学音楽学課程修了。現在、同大学院声楽専攻独唱研究領域修士1年に在籍。2023年度学内オーディション合格者によるソロ・室内楽定期演奏会に出演。第23回東京音楽大学コンクール声楽部門第2位。 2024年度、2025年度東京音楽大学給費奨学生。これまでに声楽を、菅有実子、藤牧正充、武田正雄の各氏に師事。

 

1.今回のコンクールでの自分の演奏をふりかえって および 今回のコンクールに参加しての印象

この度は、コンクール第55回という記念すべき年に受賞させていただき、大変嬉しく思います。ご指導いただいた先生方をはじめ、支えてくださった全ての皆さまに心より感謝申し上げます。

歌曲を、それもフランスの歌曲を勉強し、その成果を発揮できる場として、このコンクールはとても有難い存在であると思います。本番までの期間も、より繊細なアプローチで曲と向き合える良き時間となりました。

とはいえ、それらすべてを演奏として反映できるかはまったく別問題でございました。自分が感じている何かを、いかにして自分の外に表現・表出できるかが、今後の課題であると痛感いたします。

私にとってフランス歌曲を歌っている時間は、自分の人生において最も多幸感に満ちる瞬間であります。コンクールという場ではありましたが、本番でも変わらずこの幸せを感じながら歌えたことが、功を奏したように思います。

 

2.フランス音楽との出会い(きっかけなど)

大学の学部2年生の時に、コンクール審査員長でいらっしゃる武田正雄先生が開講されているフランス歌曲の授業を履修したのが出会いでした。当時から特にフォーレに惚れ込んでおります。

フランス語の勉強も同時期に始めたのですが、なんといいますか、フランスの言葉・音楽が妙に肌馴染みがよく、心地よく、みるみるうちにのめり込んでいきました。「ああ私はこれを歌っていく歌手になりたいのだ」と、その時に思いました。

フランス語は始め、慣れぬ発音に苦しむ方も多いと思われます。ですが有り難くも、毎授業での武田先生のお話は面白く、また、ともに履修した友人と支え合いながら、その点をさほど苦に感じず学習を続けられました。このこと が、今の私の礎となりました。

 

3.演奏家としての今後の抱負

普段でしたら照れ隠しに、「お先真っ暗ですよ」と答えて何も言わないところですが……そういうわけにもいきませんね。

生憎、語るほどの野望などは持ち合わせておりません  が……演奏家として、自分が生み出す音楽時間が私にとって、そして私と同じ時間を共有するすべての方にとって幸せなものであればと、ただただ願います。技術的問題が付きまとう日々で忘れがちなことではありますが、これ以上のことはございません。

まだまだ私は未熟者です。そんな歌手になれるよう、早まらず、粋がらず、今後も兀々と精進してまいります。

 

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