こんにちは。代表理事の山田 良です。
前回の続きで。
カフェで、喫茶店で。
コーヒーを飲みながら、ふと隣り合わせた同士で始まる会話。
最初は何の話題でしょうね。
お天気、暑さ・寒さの話題の他に、
「どちらにお住いですか」というフレーズはどうでしょうか。
もっとも、プライバシー保護の傾向が強い現代では、
いささか相手の警戒を呼ぶ問いかもしれませんが。
そういえば、「おおブレネリ」という歌がありましたね。
♪ おおブレネリ あなたの おうちはどこ?
♪ 私のおうちは スイッツランドよ きれいな湖水の ほとりなのよ
この歌に合わせて、遠足やバス旅行の際の余興ゲームの一つに、
参加者の出身地や住んでいるところを順に訊いていく、
というものがありましたが、
それこそ個人情報保護、の声が強いせいでしょうか、
最近ではあまり目にしなくなったようです。
それでも、この「相手の出身地を訊ねる」というのは、
コミュニケーションのきっかけとして、昔からよく使われていたようでもあります。
古典落語「兵庫船」には、出身地の訊き合いをする場面だけで笑いをとるくだりがありますね。
◎ あんさんなんか、、どちらのお方でございます?
△ 私は三州(さんしゅう)でございます。
◎ 三州ちゅうたら三河の国、東海道。えらい遠くから来てなはんねんなあ!
あんさんなんかどちらからです?
□ 私は勢州(せいしゅう)です。
◎ 勢州ちゅうたらお伊勢さんでっしゃないかい。ええとこに住んでなはんねんなあ。
― ― ―(この調子で出身地を訊くパターンがいくつか続いた後)ー ー ー
◎ あんさんは?
☆ わたいは、どうしゅう です。
◎ へ?
☆ どうしゅう です。
◎ どこです?
☆ 大阪ですけど。
◎へっ?大阪のことをちょっと尋ねますが、
どうしゅう、ちゅう言い方がありますか?
☆ いえ、大阪のね、あの、堂島ですねんけど、
聞いてましたら、みなさん、州をつけて言いなはるさかい、
これは州を付けて言わな、怒られるねんな、思いましてね、
堂島で「堂州」です。
◎ あ、堂島でどうしゅう、面白い人やなあ!あんさんは?
◆ 私も どうしゅうです。
◎ 堂島ですか?
◆ 道頓堀です。
◎ おお、なるほど!あんさんは?
▲ わたいも どうしゅう です。
◎堂島ですかい、道頓堀ですかい?
▲ 道修町(どしょうまち) です。
相手の出身地や住いが、自分のよく知っている土地だったり、
思い出が繋がる場所だったりすると、
初対面でも、とたんに親近感が増すことがありますね。
みなさんは、ご自分の出身地を訊かれた時に、
どんな思いが浮かび上がってくるでしょうか。
私は、「自分の出身地」について、
つい最近まで、少なからず「くすんだ」思いをもっていました。
なぜならば。個性やストーリー性の薄い、どちらかというと
「ベタで」「ありふれた」、これといった特徴のない
土地だ、と思っていたからなのです。
元来、ドラマチックなイメージの強い土地であったり、
有名な作品の舞台になった場所、
あるいは誰もが知る名所旧跡がある、などであれば、
「ああ、あそこ!」となって、話題もはずむでしょうが、
おそらく私の出身地は、そのようなものとは御縁のない、
本当に「名のない場所」だと思って、
そういう話題が出てくると、説明するのも気が引けるようで、
億劫に思ってもいました。
それがですね。
驚くことに。
近年、2回も、TVドラマのセリフに出てきたんです。
ええ、私の出身地が。
● WOWOWドラマ『レディー・ジョーカー』。
「グリコ・森永事件」に着想を得たと言われる
社会派ミステリー小説を原作としたこのドラマで、
犯行グループを追う警視庁 警部補 合田雄一郎が、
酒の席で出身地を訊かれて、ぼそっとつぶやくこのセリフ。
「東住吉区の、下町です」
思わずドッキーン、びっくり。な、なぜ、東住吉?!
大好きな俳優さんのお一人、
上川隆也さんがこの役を演じておられたのですが、
彼の口から「東住吉区」と出たのを聞いて、おもわずドギマギ(笑)。
後でわかったのですが、原作者の高村 薫さんが、
大阪市東住吉区のご出身なのですね。
それもあってか、東住吉区をプロフィールに含むキャラクターが
登場したのかもしれません。
もう一つは。
●TBS深夜ドラマ「深夜食堂 3」第4話(第24話)
「紅ショウガの天ぷら」のエピソード。
谷村美月さん演じる、大阪出身の「かすみ」が、
自分の愛人にならないかと言いよる、同じく大阪出身の社長に告げる一言。
「ケチな人の愛人にだけはなるな、とお母ちゃんは言うた」
「面影あるやろ。あんたが昔、東住吉で捨てた女の」
今、眼前で愛人になれと言う男は、
かつて自分の母を捨てた男であり、自分の父親でもある。
なかなかドラマチックな場面で、またも登場、東住吉。
それにしても、大阪の東住吉って、
ドラマの世界では「下町」のイメージなんでしょうか。
たしかに、そう言えなくもない面もありますが・・・
リアルな生活感を濃厚に感じる土地、という感じは、
特に昔はあったように思います。
でも、そこがまたよかったんですけれどね。
私にとっての「東住吉」原風景の一つに、
SHARPの本社ビル(今はなくなってしまいましたが)越しに、
晴れた日などは通天閣がほのみえる、というものがあります。
現在はその間に「あべのハルカス」の巨大な建物が
加わっておりますが。
通天閣。よくもわるくも大阪のシンボル、
のように言われますけれども、
私にとってはリアルな心の原風景の一つです。
先日、久しぶりに天王寺方面へ出ましたら、
夕暮れの空に、ネオンの光がベタな?情緒たっぷりの通天閣を見ました。
夕暮れの通天閣from 天王寺
皆さんのご出身地、お住いの地には、どんなイメージがありますか?
「カンセイ・ド・アシヤ文化財団」は、
芦屋で生まれたばかりです。
いつか、
「芦屋といえば、カンセイ・ド・アシヤ文化財団があるよね」
と言っていただけるような(いつになるかわかりませんが)
財団をめざしてがんばります!
それでは、また。
書いていると、楽しくなってきました。
ブログ書くの、面白いかもしれません。
またお立ち寄りくださいませ。
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