【第52回フランス音楽コンクール】声楽部門１位入賞　島内　菜々子（しまうち　ななこ）さん
（フランス大使賞・稲畑賞）

都立国立高等学校、東京藝術大学音楽学部声楽科卒業。同大学院音楽研究科声楽専攻修士課程修了。
二期会オペラ研修所第60期マスタークラス修了。成績優秀者による「新進声楽家の夕べ」に出演後、鈴木秀美指揮・二期会ニューウェーブ・オペラ劇場「アルチーナ」オベルト役にて二期会デビュー。
ロシア、ウラジオストク青年国際コンクール声楽の部第1位。また、外務省事業「日露青年声楽家交流」メンバーとして渡露、エカテリンブルクにて多数の演奏会を行う。
多摩フレッシュ音楽コンサート2018にて最優秀賞を受賞、入賞者リサイタルを開催。
同年夏に、一般財団法人 福島育英会の海外学修助成受給者として、ニース夏季国際アカデミー修了。
その後、2019年より渡仏。パリ・エコールノルマル音楽院にて高等演奏課程ディプロムを取得、コンセルティスト課程第1年次を修了し帰国。
2020年にはバリトン歌手フランソワ・ル・ルー氏によるフランシス・プーランク・アカデミーに参加。若手作曲家によるアカデミー委嘱作品の初演に携わり、翌年に同歌手主催のフランス歌曲コンサート「Printemps de la mélodie」に出演。
第41回飯塚新人音楽コンクール入選。
声楽をマリー＝テレーズ・ケレール、浜田理恵、佐々木典子、竹村靖子、寺谷千枝子、成田繪智子、黒澤麻美、今関智子、南みつ子各氏に師事。
茨城県牛久市出身。うしく音楽家協会会員。二期会会員。

この度はこのような歴史あるコンクールで賞をいただき、誠にありがとうございます。

この場を借りて、ここまでお世話になった方々にあらためて感謝申し上げます。

また、フランス音楽の第一線を走る素晴らしい審査員の先生方に聴いていただいたことは、私にとって非常に貴重な機会でした。

今回の私の選曲は、フランスで特に力を入れて学んだ、作曲家カプレがジャン・ド・ラ・フォンテーヌの寓話を題材とした作品をメインに構成しました。

イソップ物語をルーツに持つというフォンテーヌの寓話ですが、フランス人はみんなこの詩を知っていて、これを面白く聴いてもらえるようにはどうしたらいいのか、留学中は発音を考え、工夫を重ねる日々でした。

この作品を日本でも歌いたい、という思いを叶えてくださったのが、このコンクールです。

運営の方も申込時点から様々にご配慮くださり、当日は演奏に集中できる環境を整えてくださいまして、御礼申し上げます。

 

 

 

２、フランス音楽との出会い（きっかけなど）

 

1番最初の出会いは、大学3年での選択授業でした。それまでイタリアを始めドイツなど、様々な国の作品を勉強している中で、フランス歌曲に意識して触れたのはその時初めてでしたが、感覚にすっとなじむような、色彩豊かで軽やかなメロディにとても惹かれました。

その後ご縁がつながり、フランスへの留学に至りましたが、留学を決断したきっかけは、最初に惹かれた、その美しい音楽の魅力の印象が、自分の中に強く残っていたからだと思います。

 

 

３、演奏家としての今後の抱負

 

フランス歌曲が大好きな声楽家のひとりとしては、これから幅広いフランス人作曲家の作品を取り上げる機会を作っていきたいですし、研究していきたいと思っています。

日本では耳馴染みのある一定の作品の演奏機会が多いですが、留学中はいつも新しい作品との出会いと発見の日々がとても新鮮でしたし、歌曲としてのフランス作品の幅広さ、そして今も進化しようとする若手作曲家達の力も実感しました。

また、直近の演奏活動としましては、来年春は新しい作品に挑戦する機会を得ました。

2月19日(日)は出身地である茨城県牛久市で発足している牛久音楽家協会の演奏会にて、マスネのオペラ「マノン」のガヴォットと、プーランクの愛の小道を演奏いたします。

また、これはフランス作品ではありませんが、3月14日(火)にロシアのオペラ「エフゲニー・オネーギン」より、ロシアオペラ作品では有名なタチアーナの手紙の場面を。こちらはロシア作品をこれまで学ぶにあたりお世話になってきた黒澤麻美先生の研究会の定期演奏会にて出演予定です。

他にも、来年度は帰国後初のリサイタルも計画中です。

これまで培ってきたものを練り上げ、皆様に応援していただけるような声楽家となるようこれからも精進してまいりますので、どうぞよろしくお願いいたします。