武田正雄先生インタビュー

武田正雄先生インタビュー

フランス音楽コンクールは、今年で第55回を迎えることになりました。これだけ長く続いてきたことについて、関係者の皆様、そして参加してくださった皆様に、心よりお礼申し上げます。

−−フランス音楽コンクールと武田先生、ご自身の出会いについてお聞かせください。

はい、まず大学で声楽の勉強を始めて以降、イタリアのものを中心に勉強しておりましたが、そのうちにフランス音楽と出会い、そしてフランス歌曲と出会い、またそのフランス人の先生にも恵まれまして、このレパートリーを勉強していこうと思いました。そして私自身は第11回のフランス音楽コンクールで声楽部門で、ありがたいことに第1位を頂戴いたしまして、その後、フランス政府給費留学生となってフランスで勉強し、長い間フランスに行って、20年ほど前に日本に戻ってきて、現在日本で活動しております。

−−他の音楽コンクールとフランス音楽コンクールの違い、またフランス音楽コンクールの特徴、魅力といったものについてお聞かせください。

このコンクールでは、フランス歌曲の演奏をしていただきます。そして、いろいろな作曲家を取り上げてもらって、例えば、歌曲の演奏ですから、プログラムをどんなふうに構成してこられるか、そういうことも見ます。ただ、フランス語の発音がいいというだけではなく、その作曲家のそれぞれのスタイルですね。そういうものを聴かせていただければなと思います。

そして、このコンクールは歌曲に特化しておりますので、他のコンクールではこういうコンクールが少ないんですね。それとフランスの声楽曲に特化したコンクールというのも他にないので、それが一番の特徴です。

−−日本でのフランス音楽の需要を、どのように受け止められているかについて、このところの変化など、お感じになることがありましたら、お聞かせください。

日本では西洋音楽が入ってきた時点で、すでにドイツから来た音楽家、フランスから来た音楽家というのがいたわけですけれども、いつの間にかドイツの音楽の方が主流派になってしまっておりました。それでも、中にはフランス音楽を愛したピアニスト、そして声楽家っていうのは、これまで、ドイツの音楽に比べてマイナーですけれども、いらっしゃいまして、そして現代に至っているかなと思います。

以前よりは、特に21世紀に入ってから、フランスの声楽家で大変良い人たちが輩出されてきたこともあって、フランスの声楽家に対する興味っていうのは、日本では高まっているかなと思います。最近はミュージカルをやる学生さんも増えました。ミュージカルというのは、特にアメリカのものは、ドビュッシーやラヴェルの影響を受けている人が多いので、そういうところから、逆にフランスの音楽に興味を持って歌う人というのが、以前よりも増えているかなと思います。

−−ある程度問いが重なるかもしれませんが、このコンクールが始まった55年前と、今とでは、フランス音楽の知名度や演奏家のレベル、演奏する人数、そして聴衆側の需要はどのように変わったと思われるでしょうか。

まだまだドイツの歌曲なり、あるいはイタリアの歌曲やオペラなりに比べて、やる人が少ないかなという印象は残念ながらありますけれども、それでも以前に比べて、ずいぶんと、なんて言うんでしょうかね、「言語の壁」みたいなものは少なくなってきているかなと思いますね。

フランス語は発音が難しいということが散々言われてきましたけれども、実はそれもそれぞれの国の言葉の問題があるだけであって、特にフランス語だけが難しいというのではない、ということもだいぶ周知されてきたかなと思います。そしてまた、ある種のフランスの音楽というのは、ある種のドイツの音楽よりも、実は日本人にとって親しみが持てるものである、というようなことも、だいぶ周知されてきたのではないかなと思っております。したがって、そのこのコンクールを受けに来られる方も、我々の頃よりはずいぶん人数が増えておりますし、そして皆さんそれぞれが良いアプローチをしてくださるようになっている。つまり、ドイツ風に無理やりフランス歌曲を歌うとか、イタリア風に無理やりフランス歌曲を歌うとかっていうようなことは、もう今はだいぶ少なくなってきたと思います。そのことは大変喜ばしいことだと思っております。

−−最後に、審査員として、このコンクールに長く関わってくださっているお立場から、フランス音楽コンクールへ一言いただけましたら幸いです。

特にこれからこのコンクールを受けたい、あるいは受けようと思っている皆さんに申し上げたいのは、歌曲のレパートリーというのは、例えばオペラなどに比べると、全く1人で勉強しなくてはいけないことが非常に多くなります。先生とレッスンを受ける、それからピアニストとリハーサルをする。それだけで本番にかけなければいけないことになってきます。

コンクールの、特に本選になりますと、15分のプログラムというものが要求されますが、ただやった曲を並べるだけでなくて、15分のプログラムとして、どういうふうに聴き手に聴かせていったらいいか、そういうことを皆さん考えていただきたいと思います。そして、何よりも言葉を大事にしていただいて、歌っている言葉が聴き手に伝わるというか、聴き手とあなた方、歌い手とが感覚を共有するというか、そういうような演奏をぜひ聞かせていただきたいなと思っております。よろしくお願いします。

−−ありがとうございました。

聞き手:山田 良(一般財団法人カンセイ・ド・アシヤ文化財団 代表理事)

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クラウドファンディングについて

1970年に始まった「フランス音楽コンクール」は、2025年に創設55周年を迎えました。
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